植物の成長に大切な葉や根であるゆえ“だれか”に食べられてしまうことのないよう策(にがみ、におい、風味など)が講じられているのが野菜であるのに対し、植物の実である果実は、動くことのできない本体の代わりに、“だれか”に種子を運んでもらうための工夫を凝らしているのである。
私たちが一般的・抽象的に「果物」として片づけてしまっている「食べられたがる植物」の魅力について、ユニークな視点と読ませ上手なタイトルとで支えながら語り進められる本作は、中高一貫校の理科教員であった作者が、絵も説明も手がけた力作絵本であり、詳細な描写が実に素晴らしい。
この世の中で純粋に「食べられるため」にあるのは、果実と乳だけであると言われているが、その果実それぞれのつくりや成長過程に注目し、どのような意図で、どのような相手に食べられたがっているのかを解説してくれている。
盛口満・作
薦めたい学年:4年生以上
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