ねこの“わたし”は、18年前に自分を選び、家へ連れて帰って日々世話してくれた少年を、当時から“げぼく(下僕)”と呼び、「しかたないやつだ」としながらも、とても可愛がった。
どんくさい“げぼく”と違い、なんだって素早くやってのける“わたし”は年をとるのも早く、賢くもあったので、死んだらどうなるのかも知っていたが、自分は何でも“げぼく”よりよくできる。だから、“げぼく”には心配しないでほしかった。泣かないでほしかった。
「ゆっくりでも、おっとりでも、どんくさくても、わたしはおまえをきらいになったりしない」そんな想いで、ねこの“わたし”は、いつか“げぼく”がゆっくり自分のところへ来てくれるのを待つのだった。
上野そら・文
くまくら珠美・絵
進めたい学年:読み聞かせ Level 4
読み聞かせにかかった時間:10分以内
“死”について、去っていく側の視点で書かれた作品です。
ペットなどとの別れももちろんですが、多くの想い出を与え/与えられて旅立とうとする者すべてとの別れに当てはまる内容でしょう。
読み聞かせ、一人読み、どちらにも向きますが、客観視点を持ち、“死”についても考えられるようになる3年生後半以上のこどもたちに触れてもらいたい図書です。
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