ハンカチでは涙ぬぐいきれなくて、貯めておいた大好きなパンの耳ひっぱりだして食べ始めたけれど、それにまで涙しみこんだので空に投げたら、鳥がつかんで食べちゃって、塩気を含んだその味をもっと欲しそうにした。
そこで、泣けるだけ泣いて、あるだけのパンを涙に浸し空へ投げたところ、鳥たちは大喜びし、ネズミの子も大好きなうた歌えるほどに、こころ晴れ渡ったのだった。
後藤美月・作
薦めたい学年:読み聞かせ Level 0
読み聞かせにかかった時間:5分以内
何かに悩んだとき、その何かが何かさえわからず頭の中こころの中パンパンになってしまったとき、年齢や性別を問わず大切なのは、うつむかず、上を向くこと。文学的にも「見上げる」という表現は、基本的にポジティブな要素をもっています。本作で見上げた先にあったのは天井にあいた(小さな)穴でしたが、今回もそこにドラマが待っていました。
見上げた先に光を見出すことができるんだよ。見上げているうちに、こころはすっかり軽くなるのだよ。そんなことを本作を通して作者が語ってくれているように思いました。そういった普遍性の提示という意味で「対象年齢0歳~100歳」の記載はむしろ真っ当なのかもしれませんが、私は小学校入学後、集団の面白さも集団であるからこその辛さも知りはじめる1年生1学期、あるいは夏休み読書感想文用の読み物として最適だと思っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見・ご感想、お待ちしております。