年を取り、狩りも下手になったため、サルからもバカにされるほど骨と皮ばかりに痩せ細ってしまったトラは、ごちそうに囲まれた王様たちの宮殿暮らしを眺めるたび羨ましく思い、ある時、召使いの隙をついて、干されていたトラ毛皮の絨毯(じゅうたん)と入れ替わった。
絨毯になりきって王様たちの食べ残しをあさる“すばらしい生活”の始まりを喜び、初めのうちこそ用心して過ごしていたトラも、次第に太り、毛ツヤが良くなってくると、正体が明らかになって本物の毛皮にされてしまうことを恐れるようになったのだが、そんなある夜、宮殿に忍び込んできた三人の泥棒を、彼は後先考えずに撃退し、王様と家族、それに財産を守った。
この時から、彼は世界一すてきな生きたトラの絨毯として家族に愛され、皆の食べ残しではなく、自分のごはんももらうことができるようになったのだった。
ジェラルド=ローズ・作
ふしみみさを・訳
(原題:THE TIGER-SKIN RUG)
薦めたい学年:読み聞かせ Level 1
読み聞かせにかかった時間:5分強
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