読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



さくらいろのりゅう

役に立たない小石のようだとして村人から“コイシ”と呼ばれていた少女は、いつも一人ぼっちの時間を過ごしていたが、ある日分け入り進んだ山中の泉で青龍に出会うと、怯えるどころか、初めて友だちができたことを喜び、くる日もくる日も龍のもとへ行くようになる。
ある日、浜で見つけた美しいさくら色の貝殻をコイシが竜に贈ると、竜もまた自らのウロコをコイシに授けたのだが、それを知った村人によってコイシは脅され、竜はウロコを貪り取られてしまうのだった。
力なく横たわる竜の身体にコイシが貝を置くと、その身体はすばらしいさくら色に輝いて起き上がり、同じような輝きの空の彼方に、彼女を乗せて消えていった。

はっきりとした解決を迎える作品ではないため、読後の好き嫌いが分かれそうな作品です。 
しかし、山奥の泉に棲む龍、それを大切に扱わなかった村人たちは、村を支えていたであろう泉が物語の最後に枯れてしまったことで、その後どれだけの苦しみを経験することになるのでしょう。
このあたりについては、4・5年生で『森は生きている』(富山和子・著)を読んだときにでもまた考えるよう奨めています。

町田尚子・作

薦めたい学年:読み聞かせ Level 1
読み聞かせにかかった時間:5分


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