役に立たない小石のようだとして村人から“コイシ”と呼ばれていた少女は、いつも一人ぼっちの時間を過ごしていたが、ある日分け入り進んだ山中の泉で青龍に出会うと、怯えるどころか、初めて友だちができたことを喜び、くる日もくる日も龍のもとへ行くようになる。
ある日、浜で見つけた美しいさくら色の貝殻をコイシが竜に贈ると、竜もまた自らのウロコをコイシに授けたのだが、それを知った村人によってコイシは脅され、竜はウロコを貪り取られてしまうのだった。
力なく横たわる竜の身体にコイシが貝を置くと、その身体はすばらしいさくら色に輝いて起き上がり、同じような輝きの空の彼方に、彼女を乗せて消えていった。
はっきりとした解決を迎える作品ではないため、読後の好き嫌いが分かれそうな作品です。
しかし、山奥の泉に棲む龍、それを大切に扱わなかった村人たちは、村を支えていたであろう泉が物語の最後に枯れてしまったことで、その後どれだけの苦しみを経験することになるのでしょう。
このあたりについては、4・5年生で『森は生きている』(富山和子・著)を読んだときにでもまた考えるよう奨めています。
町田尚子・作
薦めたい学年:読み聞かせ Level 1
読み聞かせにかかった時間:5分
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見・ご感想、お待ちしております。