そろそろクリスマスを迎えようという頃、森のもみの木たちは、まだ一度も見たことのない本物のクリスマス・ツリーとして自分たちが着飾るドレスの話に夢中になっていたが、ある朝突然、小さなのと古いの、二本を残し、皆切り取られて行ってしまった。
取り残されたことに落ち込む一方で、小さなもみの木は、それまで誰にも聞いてもらえなかった自分のドレス話に耳を傾けてくれる老木に親しみを感じたが、自分を力づけてくれた老木が若い木たちと同じような夢を抱くことをあきらめていると知ると、願い待ちつづければ良いことがあるのだと、励まし返す。
クリスマスの朝、空から降りてきた白のドレスに包まれ、日のひかりに照らされた彼らは、まぶしいほどに輝き、色とりどりの鳥たちにも祝福されて、叶った願いの美しさに一日中こころ躍らせたのだった。
市川里美・作
角野栄子・訳
(原題: La robe de Noël [仏])
薦めたい学年:読み聞かせ Level 1 (クリスマス)
読み聞かせにかかった時間:7分
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