秋のある日、かくれんぼがしたいのにちっとも構ってくれないお兄ちゃんのあとを追いかけ迷いこんだ大きな森の中で、けいこはかくれんぼの名人を自称する不思議な男の子、”もりのかくれんぼう”と出会った。
隠れることが本当に上手なかくれんぼうや森の仲間たちとの、秋一色の中でのかくれんぼは、けいこにとってもこの上なく楽しいものであったが、自分が隠れる番になって身をひそめ、森のここちよさの中でつい我を忘れると、気がついたときには元の世界、彼女の住む団地の茂みの中にいたのであった。
その後、自分たちの住む団地が森のあった場所に建てられたものだと知ったけいこには、動物たちやかくれんぼうが、いまもどこかの森に隠れているのだという確かな気がしていた。
読み聞かせに20分を要しましたが、それは、あらすじにある通り、かくれんぼの上手な森の住人たちを絵の中で探す楽しみがあるからです。
集中力も要しますが、主人公けいこが挑戦しているのと同じように、目をこらしたり、逆さまに見たり、引いたり近づいたりして、作品全体を楽しんでもらいたい絵本です。
それにしても、私たちの周りは、お話に出てくるような豊かな森はもちろん、落ち葉の山、秋らしい色への変化さえ感じることの少ないような、変化に乏しい環境になってきました。“あの頃”を今のこどもたちにも味わってもらいたい、そんな想いでいっぱいです。
末吉暁子・文
林 明子・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 1 (ぜひ秋に)
読み聞かせにかかった時間:20分
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