読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



もりのかくれんぼう

秋のある日、かくれんぼがしたいのにちっとも構ってくれないお兄ちゃんのあとを追いかけ迷いこんだ大きな森の中で、けいこはかくれんぼの名人を自称する不思議な男の子、”もりのかくれんぼう”と出会った。
隠れることが本当に上手なかくれんぼうや森の仲間たちとの、秋一色の中でのかくれんぼは、けいこにとってもこの上なく楽しいものであったが、自分が隠れる番になって身をひそめ、森のここちよさの中でつい我を忘れると、気がついたときには元の世界、彼女の住む団地の茂みの中にいたのであった。
その後、自分たちの住む団地が森のあった場所に建てられたものだと知ったけいこには、動物たちやかくれんぼうが、いまもどこかの森に隠れているのだという確かな気がしていた。

読み聞かせに20分を要しましたが、それは、あらすじにある通り、かくれんぼの上手な森の住人たちを絵の中で探す楽しみがあるからです。
集中力も要しますが、主人公けいこが挑戦しているのと同じように、目をこらしたり、逆さまに見たり、引いたり近づいたりして、作品全体を楽しんでもらいたい絵本です。
それにしても、私たちの周りは、お話に出てくるような豊かな森はもちろん、落ち葉の山、秋らしい色への変化さえ感じることの少ないような、変化に乏しい環境になってきました。“あの頃”を今のこどもたちにも味わってもらいたい、そんな想いでいっぱいです。

末吉暁子・文
林 明子・絵

薦めたい学年:読み聞かせ Level 1 (ぜひ秋に)
読み聞かせにかかった時間:20分


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