読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



なんでもただ会社

受験勉強に必死な兄と家で二人、留守番中だったティエリが、静かにしていなければいけないという制約の下、適当な番号へ電話をかけて遊びはじめると、驚くことに「なんでもただ会社」に通じてしまい、簡単な会員登録だけで望んだものが何でも直ちに手に入るという不思議な体験をする。
それに味を占め、幾度もほしいものを手に入れたある時、自身の傲りと相手の誘導とによって、ただ一つだけ守るべき「“ん”で終わるものを望んではいけない」という約束事を破ってしまったことで、一転して知らぬ星での強制労働を科せられる目に遭うところだったティエリは、それまでに与えられた全ての品を揃えて返却することで許されるという条件に助けられ、なんとか連行を免れることができた。
生まれて初めて経験した、その恐ろしい出来事があってからというもの、彼は決して、軽い気持ちで電話に触らなくなったのだった。

現代の生活に欠かせない道具とこどもたち(人間)の心理との関係を扱った“生活ファンタジー”を得意とする、ニコラ=ド=イルシングの作品でした。 以前にも『ふしぎなテレビのいじわる作戦』を紹介しています。
自分や家族を守るために、私たちに付随する“情報”を守る。 それが以前にも増して大切な世の中ですね。
それぞれ名前は違っていても、「なんでもただ会社」のようなずるいことを考えている人たちが残念ながら少なくない中、ティエリのように怖い思いをする子が増えませんように。

ニコラ=ド=イルシング・作
末松氷海子・訳
三原紫野・絵

薦めたい学年:3年生~4年生半


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