大きな森の奥深く、とんがり屋根の建物には、家族のもとを離れて魔女を目指す見習い少女たちが暮らしていたが、中でもひときわ小さな魔女デイジーは、まだまだ未熟なほうき乗りの練習に、一人向き合っている最中だった。
もれなく落下し、森に受け止められたデイジーが、自分を笑う声にふりかえると、そこにいたのは一羽の黒い鳥であったが、このズズーという名の鳥もまた、劣等感からくる哀しみを抱えた存在であった。
その後、ズズーの“あたりまえ”から学習してほうき乗りの上達したデイジーと、デイジーの“あたりまえ”に触れて喜びを知ったズズーが感じる風は、それまでと違うものになり、それ以降デイジーとズズーはいつも一緒にいる。 彼女はもう小さな魔女ではなかった。
植田 真・作
薦めたい学年:読み聞かせ Level 1
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見・ご感想、お待ちしております。