人間の男の子と出会い、その家族のあたたかさを見たちびっこの木は、ある夜とうとう大地にはる根を抜き出し、男の子の家へと歩き出した。
森の動物や鳥たちのように、たくさんのものを見て歩くことのできるようになったちびっこの木は、さまざまな経験をしながら、幾多の困難を乗り越えながら、枝々に花をつけ、両親の木よりも背を伸ばし、渡り鳥たちが自らにとまって休むことを、人間たちが彼の木陰で休憩することを、喜びに変えるようになっていった。
そのことに自ら気がついたとき、ちびっこの木は大きなおとなの木になっていたのである。
テルマ=ボルクマン・作 シルビー=セリグ・絵
花輪 莞爾・訳
薦めたい学年:2年生
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