読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



トレモスのパン屋

自他ともに認める町一番のパン職人ポルトは、自分の店の真向かいに新しいパン屋が構えられたことを初めこそ気にしていなかったものの、もっとも真価の問われる商品「食パン」それだけを毎回購入してくれていた3名の常連客が奪われたという事態に気付いてしまってからは、その理由ばかりが気になり、心中穏やかでいられなかった。
そして、年に一度のパンづくり大会を前に、プライドを抑え、その店の食パンを口にしてみたポルトは、その確かな味を知り、負けじと自らも努力を重ねたのだが、スパイとして送り込んだ一番弟子カルルが戻らないことなどによって、さらに気を揉んだ状況でおいしいパンをつくれるはずもなく、惨敗という結果で大会を終える。
その後、カルルからの手紙によって、誇大すぎた自尊心のために、努力や他者またはパンそのものへの愛情が自らに欠けていたことを思い知らされたポルトは、自信を失い、一度は店をたたむ決意をしたのだが、夫人の力強い励ましの中にパン職人としての役目を見出すと、ふたたび他者のためのパン作りをはじめた。

小倉明・文
石倉欣二・絵

薦めたい学年:3年生後半~4年生


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