読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



自由な時間の使いかた

昨日ご紹介した『9月0日大冒険』、4,5年生の読書感想文にもピッタリですね。

「もしも、ぼくが9月0日の世界に迷い込むとしたら、それは○○な世界だろう。」などと書き始めてもいいかもしれません。
なぜ、そのような世界を望むのでしょうか。
そこへ行ったら、どんな経験(楽しいことも苦しいことも)があるでしょうか。
それらを通じて出てくる学校などでは見せないような自分らしさとは、どのようなものでしょうか。
それを出していくことで、友人たちとの付き合い方や学校生活には、どのような変化があるでしょうか。(良いことも悪いことも)
メモとして書き出せることはたくさんあるように思います。

ところで、こどもたちが楽しみ焦がれる夏休みですが、“夏休みを楽しむ”ということ自体、ご家族の協力(力やお金、一緒にいる時間)があることを前提としているところがあります。
だれを当てにするのでもなく、本当に自分たちで楽しみを創っていくとなったとき、自由に、存分に、夏休みを謳歌できる子は、いったいどれくらいいるでしょうか。何もできない子ほど、物語冒頭の主人公・純のように、不平不満ばかりが膨らむのではないでしょうか。
現代のこどもたちを非難しているのではなく、これは私が小さな頃から、あるいはそれ以前でも同じように考えられるべきことだったと思います。
自由な時間をどのように過ごすか、となると一生のテーマですね。

このような話をするのは恥ずかしいですが、私がこどもの頃に読んだ漫画に、魔族の者と人間が(いい意味で)仲良くなる場面がありました。そのとき、その者は人間に感心してこう言ったのです。
「魔族は人間の10倍は長生きする。だがその分、1/10の薄い生き方しかできないやつが多い」
なるほど、10倍長生きできると、もしかしたら何事も10倍先延ばしにしてしまうのかもしれません。

夏休みについても、一日だけしかないつもりで、自分にできる範囲内で最大のことを計画し過ごしたほうが、振り返ったときの充実感がありそうです。不意に与えられたものではありますが、たった一日、でも自力での丸一日、それを経験したのが、まさに『9月0日大冒険』だったというわけです。
物語のようにはいきませんが、もしも一日しか夏休みがなかったら……を一生懸命に考え、夏休みをそのような一日の連続として過ごせたら、いいのでしょうね。少しでも、こどもたちに意識してみてもらいたいところです。【もしも】はいいですよ。可能性を考えさせてくれるツールです!
もちろん、人間らしさを考えるなら、のんびり過ごすことも大事なのですが。


   
『9月0日大冒険』
さとうまきこ・文
田中槇子・絵
薦めたい学年:小学4年生~5年生(夏休み)

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