読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



ウェン王子とトラ

ずっと昔、人間にこどもたちを殺され、助けることができなかったことを後悔しながら、人を憎み、ついにある集落を襲ってしまった哀しいトラがいた。
夜ごと続く襲撃と泣き叫ぶ民衆の声を静めるため、国王は占いにもとづき、兵ではなく自らの子をトラのもとへ送り出すことを渋々決断したのだが、王子ウェンの真っ直ぐな姿勢と表情は、トラに母であった頃のやさしい記憶を呼び戻させ、その傷を癒していったのだった。
それから数年後、森でトラの子のようにたくましく育った王子は、彼の身を案じた王による出兵を機に城へと戻ることになって以降も、王妃とトラとをそれぞれ母として、立派に大人への歩みを進めていったのである。

チェン=ジャンホン・作
平岡敦・訳

薦めたい学年:読み聞かせ Level 2


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