雨降りしきる真冬の寒い土曜の晩、身体も弱り財もないため、週に一度その夜にだけ食べることにしている肉料理とパンとを楽しみに生活している老人のもとへ、1匹の黒ねこが迷い込んできた。
そのびしょぬれの小さなからだを抱き、快復を願った老人は、自身の楽しみであるミルクもパンも肉も、すべてこの大きな緑色の目をしたお客様のために差し出し、ついにはもう頻繁に集めに行くことのできない薪までも、使い果たしてしまう。
しかしそれでも、いや、それゆえに静かであたたかい幸せを感じた老人は、翌朝お客様を見送った後も、二度と失うことのない平安をこころに得たのだった。
ルース=エインズワース・文
荒このみ・訳 山内ふじ江・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 2
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見・ご感想、お待ちしております。