今回紹介しました『ブラック・ドッグ』の読み聞かせ後、こどもたちの間には必ずといっていいほど静寂が溢れます。……いえ、沈黙の間違いでした。ポカーンとして、なんの感想もありません。前回記載のあらすじを読まれた皆様は、いかがでしたでしょうか。何度か読んだ私の主観は織り込まず、忠実にストーリーを記したつもりなので、やはり「よく分からない」という感想をもつ方もおられるでしょう。しかし[意味の分からないもの]を[つまらないもの]とすぐに片付けてしまってはいけませんね。
物語性について考えをめぐらせつつ、読後にぜひ内容について話し合ってみてください。なぜ「どうってことのない黒い犬」が、序盤でどんどんと大きく捉えられていくのでしょう。一番年下の子が解決のため活躍するのは、たまたまでしょうか。なぜ、そもそも黒い犬なのでしょう。一面雪に囲まれた冬の設定にも意味があるかもしれません。いろいろと考えて、やっと意味を見出すことのできるものもあります。直接的な表現を好み、それに慣れてきてしまっている私たちですが、意図を汲んで想像する力も、これからの世の中を生きる上で、忘れず育てていきたいところです。
「この作品は、恐怖や不安が知らず知らず大きくなっていく様子を表しているのかな」と、そのように想像できたら素晴らしいですね。これだって一つの考え方でしかありませんが、当塾では皆が納得できたら、“私が不安を感じるとき”というテーマで作文を書いてもらっています。具体的な場面の想起からはじめ、どんなことで不安を感じやすいのか抽象的にも考えてもらいます。
レ―ヴィ=ピンフォールド・作
片岡しのぶ・訳
(原題:The Black Dog)
薦めたい学年:読み聞かせ Level 3
読み聞かせにかかった時間:5分
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見・ご感想、お待ちしております。