読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



意味が分からない≠つまらない

今回紹介しました『ブラック・ドッグ』の読み聞かせ後、こどもたちの間には必ずといっていいほど静寂が溢れます。……いえ、沈黙の間違いでした。ポカーンとして、なんの感想もありません。前回記載のあらすじを読まれた皆様は、いかがでしたでしょうか。何度か読んだ私の主観は織り込まず、忠実にストーリーを記したつもりなので、やはり「よく分からない」という感想をもつ方もおられるでしょう。しかし[意味の分からないもの]を[つまらないもの]とすぐに片付けてしまってはいけませんね。

物語性について考えをめぐらせつつ、読後にぜひ内容について話し合ってみてください。なぜ「どうってことのない黒い犬」が、序盤でどんどんと大きく捉えられていくのでしょう。一番年下の子が解決のため活躍するのは、たまたまでしょうか。なぜ、そもそも黒い犬なのでしょう。一面雪に囲まれた冬の設定にも意味があるかもしれません。いろいろと考えて、やっと意味を見出すことのできるものもあります。直接的な表現を好み、それに慣れてきてしまっている私たちですが、意図を汲んで想像する力も、これからの世の中を生きる上で、忘れず育てていきたいところです。

「この作品は、恐怖や不安が知らず知らず大きくなっていく様子を表しているのかな」と、そのように想像できたら素晴らしいですね。これだって一つの考え方でしかありませんが、当塾では皆が納得できたら、私が不安を感じるときというテーマで作文を書いてもらっています。具体的な場面の想起からはじめ、どんなことで不安を感じやすいのか抽象的にも考えてもらいます。





レ―ヴィ=ピンフォールド・作
片岡しのぶ・訳
(原題:The Black Dog)
薦めたい学年:読み聞かせ Level 3
読み聞かせにかかった時間:5分

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