春からちっとも雨が降らず、稲が枯れていくのを見ていて困ったおふくの母が、あるとき空を見上げ、雨を降らせた者にならば一人娘を嫁がせてもよいと口にしたところ、その声は山奥の鬼の耳に届いてしまい、喜んだ鬼が万年豊作になるほどの雨を降らせ田を生き返らせたものだから、母はしぶしぶおふくを差し出すことになったのだが、おふくを迎え入れると、鬼は冬のあいだ彼女ばかりを働かせ、自らは酒を呑んで酔っ払っていたので、雪どけと同時に、おふくは母のもとへと逃げ出した。
娘をかくまい鬼と対峙した母は、煎った豆を投げつけながら、それを育て花を咲かすことを娘を返す条件としたので、その日から何年もまじめに努力した鬼も、とうとう豆を見るのがいやになって、おふくのことをあきらめた。
その話が伝わり、村の者たちが鬼の嫌いな豆を家のまわりに撒くようになったのが、節分の豆まきの始まりなのだとか。
なんだか、後半はまじめな鬼の姿が描かれていました。これから節分で豆を投げつけるのも可哀そうかなと思えるほどに。
多くの場合、悪い者の代表として描かれる鬼。
“鬼”とは、一体何を表しているのでしょうね。大きな子たちとなら、考えてみるのもよいでしょう。
谷 真介・文
赤坂三好・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 2(節分)
読み聞かせにかかった時間:10分以内
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