見渡す限りの白い雪、そこに差す色は煙突から出るすすの黒だけという中で、アナベルが見つけた箱から出てきたのは、いくら使っても無くならない、色とりどりの毛糸だった。
そこで、彼女が自分と犬のマースの分、実はうらやましがっていたネイトと彼の犬の分、そして学校の仲間や先生、町中の人たちや動物たち、さらには色のない町自体のためにも、セーターを編み続けていると、ある時、噂を聞きつけたオシャレ好きの王子がその毛糸を買い取りに訪れるのだが、どんな値を伝えても彼女は首を縦に振らなかった。
そのため、王子はそれを盗み出すも中身はスッカラカン。箱は海へ投げ捨てられ、恨んだ王子によってアナベルも一生不幸を背負う呪いをかけられたが、彼女は不思議と手元に戻った箱の毛糸とともに、その後も幸せに暮らしたのだった。
幸せや喜びは、欲のない人のもとで溢れる……ということでしょうか。
私はそう解釈しましたが、絵の通り、何より冬の冷たさの中でポッと温かみを得られれば、それで良いのだとも思えます。
毛糸のセーターやマフラーをイヤがるようなこどもたちでも喜んでつけたくなるような、すてきで可愛い色が見開きに広がっていきます。
マック=バーネット・文
ジョン=クラッセン・絵
なかがわちひろ・訳
(原題:Extra Yarn)
薦めたい学年:読み聞かせ Level 2
読み聞かせにかかった時間:10分以内
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