読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



アナベルとふしぎなけいと

見渡す限りの白い雪、そこに差す色は煙突から出るすすの黒だけという中で、アナベルが見つけた箱から出てきたのは、いくら使っても無くならない、色とりどりの毛糸だった。
そこで、彼女が自分と犬のマースの分、実はうらやましがっていたネイトと彼の犬の分、そして学校の仲間や先生、町中の人たちや動物たち、さらには色のない町自体のためにも、セーターを編み続けていると、ある時、噂を聞きつけたオシャレ好きの王子がその毛糸を買い取りに訪れるのだが、どんな値を伝えても彼女は首を縦に振らなかった。
そのため、王子はそれを盗み出すも中身はスッカラカン。箱は海へ投げ捨てられ、恨んだ王子によってアナベルも一生不幸を背負う呪いをかけられたが、彼女は不思議と手元に戻った箱の毛糸とともに、その後も幸せに暮らしたのだった。

幸せや喜びは、欲のない人のもとで溢れる……ということでしょうか。
私はそう解釈しましたが、絵の通り、何より冬の冷たさの中でポッと温かみを得られれば、それで良いのだとも思えます。
毛糸のセーターやマフラーをイヤがるようなこどもたちでも喜んでつけたくなるような、すてきで可愛い色が見開きに広がっていきます。

マック=バーネット・文
ジョン=クラッセン・絵
なかがわちひろ・訳
(原題:Extra Yarn)

薦めたい学年:読み聞かせ Level 2
読み聞かせにかかった時間:10分以内


0 件のコメント:

コメントを投稿

ご意見・ご感想、お待ちしております。