草木がまだ話をしていたほどの大昔、寒い冬空の下で話し込んでいた麦と蕎麦のところへ老人がやってきて頼んだのは、目の前を流れる川をどちらかにおぶってもらって渡りたいということだった。
凍えるような冷たさの川を前にして麦は投げ出したが、蕎麦はこれを受諾すると、老人を濡らさないよう一歩一歩踏ん張り、頑張りしながら、決して穏やかではなかった川を無事に渡り切った。
冷たい川の流れのために、蕎麦の足は真っ赤になってしまったが、実は穀物の神様であったその老人によって、親切な蕎麦はそれ以降夏に太陽の下で成長する穀物として、不親切だった麦は冬の寒さを我慢しながら育たなければならない穀物として、それぞれ生きることになったのだとか。
上に要約した表題作「おそばのくきはなぜあかい」の他、「おししのくびはなぜあかい」「うみのみずはなぜからい」といった日本の昔話が収められています。
特に、「おそば~」と「うみのみず~」は寓話となっており、それぞれテーマとなっている親切/欲張ることをもとに、作文することも可能でしょう。
1・2年生で感想文がある場合、絵本を選んでも構わないと思います。テーマを理解し、自分の体験を重ねることが、何より大切な作業です。保護者の方は、堂々と聞き取りをし、メモのお手伝いと、それをまとめる際の先導を行ってください。
石井桃子・作
初山滋・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 1
読み聞かせにかかった時間:5分(一話あたり)
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