読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



金曜日がおわらない

いつでも両親に見張られていると感じていた上、学校も居心地悪く思っていた12才の少年レニーは、ある金曜日、抱えていた不満やプレッシャーを吐き出すように周囲に対して悪態をつき、また、それによって膨らんだ葛藤の風船が爆発したかのような“げっぷ”をして、その日を終えた  ……つもりでいたのだが、翌日彼を待ち受けていたのは、前日と一つも違わぬ金曜日の同じ出来事・同じ体験であった。
そのまま“時”につかまり、来る日も来る日も嫌気のさすような金曜日が繰り返される中で、レニーは過ぎては訪れる毎日のなか見過ごしてきた物事や、周囲から受けるプレッシャーに負けて見失っていた本来の自分、そして自身の過ごし方を変えると周囲も変化するという不思議に気が付きはじめる。
金曜日その日一日について、、歴史を変えるつもりで小さな一つ一つを正しく過ごし直した結果、彼は久しぶりの土曜日を迎えられただけでなく、充実し始める未来への足掛かりをも手にしたのだった。

「変わり映えしない日々の繰り返し」、そんなふうに感じるのは、いつも反省の段階に差し掛かってからですね。
しかし、そんな毎日だって、実は自分自身でつくり上げてしまっているもの。他の何者のせいにもできない、自分の歴史の積み重ねの結果なのです。もしも、本書の世界観のように、いやでも同じ毎日を繰り返し生きることになれば気がつきそうなものですが、私たちは、それを周囲だけは変化しているように見える(自己嫌悪な)毎日、あるいは、自分だって少しは変化しているさと認めたくなる(自画自賛の)日々の中で気が付かなければいけないのですから、やはり少し難しいでしょうね。
ページ数も少なく、読むことは容易な作品ですが、小学5・6年生が向き合うべき“他者との関わり合いの中の自分”というテーマにしっかりと触れられる良書ですので、主人公レニーのようにプレッシャーを感じていたり、何をしてもうまくいかないと思うことのあるこどもたちがbreak throughを果たすきっかけにもなるのではないかと思います。

アニー=ドルトン・作
岡本浜江・訳
風川恭子・絵
(原題:Friday Forever)

薦めたい学年:4年生後半~6年生初
物語・124ページ


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