読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



大力のワーニャ

怠ける素質を持って生まれてきたように、とにかく働くことをしなかった少年ワーニャは、あるとき出会った盲目の不思議な老人の導きのまま、本当に何もしない時間を、石の上で三年どころか、パン焼きかまどの上で七年も過ごすことになった。
食べる・寝る以外何一つしようとしない弟を妬む兄たちの妨害からも不思議な力で守られ、ついに七年の時を経て超人的な強さを身につけたワーニャは、亡き母の形見である3カペイカ銀貨を胸に旅し、人々を困らせる“悪いオッホ”、“ババヤガー”、“龍の子フォーマ”といった化け物たちを倒しながらこの世に二つとない装備と駿馬とを得て、自身の到着を待っているという遥かな国の皇帝の冠を目指した。
たどり着いた先には皇位を狙う大公の罠が待ち受けていたが、それも振り払い、城へと迎え入れられた彼は、七年の忍耐で手にした力、そして旅することで得たたくましさと信頼で民衆を魅了し、新しい皇帝に相応しい者として、年老いた盲目の現皇帝からついに、冠を戴いたのであった。

どうしても怠けてしまう、何かしたいとは思うけれど何をしていいかわからない、それならワーニャのように思い切り怠けて得られる力というものを考えてみましょう。力を手に入れたら、それをどのようなことに使いたいかまで、検討してみましょう。
でも、実際はどうでしょう。怠けていて手に入る力もあるでしょうか。やはり少し違う気もしますね。ワーニャの場合、目標のために一生懸命怠けたのです。彼の“怠け”が特別なものであると考えた周囲の支えもあって。
目標を見つけたら、そのためじっと耐えるように頑張る時間が必要であること、力を手にしたあとも誠実に努力することが大切であることを伝えてくれている作品かもしれません。


オトフリート=プロイスラー・作
大塚勇三・訳
(原題:Die Abenteur Des Starken Wanja 独語)

薦めたい学年:4年生後半~5年生
物語・289ページ(文庫版)


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