読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



たからもの

食べるのにも困るほど貧しい生活を送っていた男アイザックは、夢のなかで三度も聞いたふしぎな声をたよりに、都へ向かい、宮殿へとつづく橋の下にあるという宝物を探すことにした。
衛兵たちが番をしているため、毎日橋の周辺を歩き回るだけになっていたアイザックが、あるとき衛兵隊長に夢の話をすると、ふしぎな夢をみたことはあってもそれを信じたことはないと彼はアイザックを笑ったのだが、隊長のみたその夢は、アイザックの家のかまどの下を掘り起こすというものだった。
いま一度夢を信じ、本当に宝を手にすることのできたアイザックは、感謝の気持ちを忘れず、「ちかくにあるものをみつけるために、とおくまでたびをしなければならないこともある」という言葉を胸に、それ以降、こころ安らかに暮らしたのだった。

これも「何を伝えたいのだと思うか」こどもたちと話し合いたい作品です。
メッセージの通り、“近くにあるものを見つけるための遠回り”について書かれているのはもちろんのこと、“労力を惜しむな”ということや“信じることの大切さ”も言っているでしょう。私は、“すこしでもわくわくするなら追いかけなさい”という内容を感じました。
すぐに読めてしまう絵本ですが、ふと得られるメッセージは、読むたび違ってくるかもしれません。

ユリ=シュルヴィッツ・作
安藤紀子・訳
(原題:The Treasure)

薦めたい学年:読み聞かせ Level 2
読み聞かせにかかった時間:5分以内


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