食べるのにも困るほど貧しい生活を送っていた男アイザックは、夢のなかで三度も聞いたふしぎな声をたよりに、都へ向かい、宮殿へとつづく橋の下にあるという宝物を探すことにした。
衛兵たちが番をしているため、毎日橋の周辺を歩き回るだけになっていたアイザックが、あるとき衛兵隊長に夢の話をすると、ふしぎな夢をみたことはあってもそれを信じたことはないと彼はアイザックを笑ったのだが、隊長のみたその夢は、アイザックの家のかまどの下を掘り起こすというものだった。
いま一度夢を信じ、本当に宝を手にすることのできたアイザックは、感謝の気持ちを忘れず、「ちかくにあるものをみつけるために、とおくまでたびをしなければならないこともある」という言葉を胸に、それ以降、こころ安らかに暮らしたのだった。
これも「何を伝えたいのだと思うか」こどもたちと話し合いたい作品です。
メッセージの通り、“近くにあるものを見つけるための遠回り”について書かれているのはもちろんのこと、“労力を惜しむな”ということや“信じることの大切さ”も言っているでしょう。私は、“すこしでもわくわくするなら追いかけなさい”という内容を感じました。
すぐに読めてしまう絵本ですが、ふと得られるメッセージは、読むたび違ってくるかもしれません。
ユリ=シュルヴィッツ・作
安藤紀子・訳
(原題:The Treasure)
薦めたい学年:読み聞かせ Level 2
読み聞かせにかかった時間:5分以内
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