読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



つなのうえのミレット

パリの劇場や音楽堂に世界中から旅芸人たちが集まってきていた、今より100年以上も前のある時、少女ミレットの母が営む宿屋を、引退した綱渡り師ベリーニを名乗る悲しい顔つきの男が訪れると、その練習を一目見たミレットは綱渡りの虜となり、何落ちてもあきらめず、綱の上を自在に渡れるまでに上達する。
“鉄の心臓の持ち主”と呼ばれ数々の神業綱渡りの伝説を残しながら、一度覚えた恐怖心を克服できず実は一人苦悩と闘っていたベリーニは、綱渡りの楽しさを得たばかりで彼の苦しみを知ることになり落ち込むミレットを前にして決意すると、その街で再起の興業を計画したのだが、それは弟子として受け入れることにしたミレットとの初舞台でもあった。
何も知らされていなかったものの胸の高鳴りに導かれるまま夜空に浮かぶ綱の上に立ったミレットは、沸きあがる喝采をよそに、ベリーニとふたり、いま目の前にある綱を渡りきることだけを考えていたのであった。

少し前に、綱渡りをテーマにした映画『The Walk』(2016)も公開されていましたね。あちらは1974年の実話を基に地上411mの世界を描いたものでしたが、一般に理解しがたい離れ業も不断の努力と決心によって実現可能、という共通する部分も見いだせます。
同じ挑戦を扱った別監督の『Man on Wire』(2009年)という作品とともに、この機会に併せて紹介させていただきますね。
ちなみに私自身は高所が苦手ですが、自分では到達しえない世界を見せてくれる、今回のような絵本も映像作品も大好きです。

エミリー=アーノルド=マッカリー・作
津森優子・訳
(原題:Mirette on the High Wire)

薦めたい学年:読み聞かせ Level 2
読み聞かせにかかった時間:10分




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