読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



全体を見ようとする

昨日紹介した絵本『空のおくりもの―雲をつむぐ少年のお話』について、Amazon.co.jpには「環境破壊を詩的に警告」した作品だとする高評価のレビューがありました。しかし、そのように決めつけてしまうともったいないですね。アーティストがこしらえた作品というのは、我々受け手次第でいかようにも幅をもつものだと思うのです。
教室では「あなたがどっさりほしいもの」というタイトルで、読後に作文をしてみました。次のような具合です。

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【メモ】
ぼくは、メロンをどっさり買ってもらいたい。
→れいぞうこに入らない。
→家じゅうがメロンだらけになる。じゃまになる。
→いそいで食べるしかない。
→食べあきてしまう。
→食べきれないメロンが、くさっちゃう。すてなきゃいけない。

【まとめ】
ぼくは、メロンをどっさり買ってもらいたいと思った。しかし、れいぞうこに、ぜんぶは入らない。すると、家じゅうがメロンだらけになってしまうし、生活のじゃまになるだろう。
そのため、いそいで食べるしかなくなる。でも、すぐに食べあきてしまうだろう。食べきれないメロンは、すてたり、くさらせたりしてしまうことになる。
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この春2年生になった生徒の書き上げたものです。※
こどもなら、どっさり欲しいものも当然あります。欲しいと思うものを欲しがる理由は、様々でしょう。しかし、あるものをどっさり欲しがった「そのあとはどうなるの?」という、先の展開を【予想する】ことが欠けがちです。ものごとの全体像を意識することと言うこともできるでしょうか。
物語中の王様のように、大人でも目の前のことに夢中になって全体を見落とすことがあります。冒頭で紹介した、幅をもつはずの図書内容を「○○だ!」と言い切ってしまうような見解も、これと同じ構造だと捉えることができます。

【全体を意識する】こと。こどもたちに身につけてもらいたいですね。
もちろん、こどもたちの豊かな想像を現実的な意見で握りつぶすばかりになったりすることのないよう、私たちも心がけなければいけませんが。


※文の“接続”や一部の“文末表現”は、3年生くらいまでのこどもたちには難しいものですので、合いの手を入れるように講師が言葉を与えていって、まとめ文が書き上がったとご理解ください。



マイケル=キャッチプール・文
アリソン=ジェイ・絵
亀井よし子・訳
(原題:Cloth from the Clouds)

薦めたい学年:読み聞かせ Level 2
読み聞かせにかかった時間:10分以内

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