何か言おうするたび、吃音(きつおん)のためうまく話すことができなかった少年は、自分をだめな者、壊れた存在だと感じ落ち込んでいたが、一方で飼っていた動物たちには自由に語りかけることができたことから、ことばをもたない彼らの気持ちを理解し、いつかその代弁者となることを約束する。
月日が流れ、両親の努力と話し方の先生のおかげで、どもらず話せるようになって動物学者への道を進んだ彼は、それまで誰もしていなかったジャガーの研究を始めると、ハンターたちからジャガーを守る保護区を要求するため、その地の首相からたった15分のスピーチする時間を与えられることになったのだが、いつかの約束を果たそうと一所懸命にことばを伝えたので、訴えは見事認められ、世界で初めてのジャガーの保護区がつくられることになった。
ジャングルに戻って研究を続けていたある日、鉢合わせた一頭の大きなオスのジャガーの目から力みなぎる想いを受け取り、気持ちが一つになったのを感じると、彼も「ありがとう」と一言伝えたのであった。
現在、世界大型ネコ科動物36種の保護団体(Panthera)代表を務める筆者自身の経験をもとにしたノンフィクションとのこと。
「吃音という才能を与えられたのは幸運なことだ。どもっていなければ、使命感を持って大型ネコ科の動物たちを救う活動は行っていなかっただろう。」と語られています。
人生の中でサインを感じとり、自分の輝ける場所を見つけた方なのですね。
アラン=ラビノヴィッツ・文
カティア=チエン・絵
美馬しょうこ・訳
薦めたい学年:読み聞かせ Level 3
読み聞かせにかかった時間:10分
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