おとなになったら、世界一大きな家がほしいと願うちびかたつむりに、お父さんが諭すように語ったのは、同じような願いをもち、それを叶えた一匹のかたつむりの話だった。
内側でからだをのばしたりねじったりして、少しずつ家を大きくしていったそのかたつむりは、さらにそれを飾りたて、世界で一番大きくて美しい家を手に入れ鼻高々だったが、すみかにしていたキャベツの葉がなくなり、仲間が他へ移動することになって一人取り残されると、身動きできないままやせ細り、消えてしまったのである。
涙ながらに話を聞いていたちびかたつむりは、好きなところへ移動できるよう、自分の家は小さくしておこうと考え直し、身もこころも軽く、すばらしい世界を眺めて暮らすことができたのであった。
この作品を、先日の体験授業で、新1年生になる受講生に読み聞かせました。
明日から4月、様々なチャレンジもはじまる新しい一年間を迎えるにあたって、大きな希望を持つことも大事ですし、今回のテーマのように、あれもこれもと欲張りすぎて大切なことを見失うことのないよう気を付け歩みを進めることも大事ですね。
ちびかたつむりが成長しても父親の話を忘れることがなかったように、これから大きくなっていくこどもたちにも、このお話とテーマがよく伝わり、こころに残りつづけてくれたらと思います。
レオ=レオニ・作
谷川俊太郎・訳
(原題:The Biggest House in the World)
薦めたい学年:読み聞かせ Level 1
読み聞かせにかかった時間:10分以内
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見・ご感想、お待ちしております。