読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



クリスマスのつぼ

ゴメスさんの手によって時を同じくして出来上がるも、ひびの有無によって運命の分かれた二つのつぼのうち、色も塗られず使われないままだったひび入りのつぼは、もう一つを心から羨みながら、庭のすみで静かに哀しく過ごすばかりであったが、ある日とうとう“クリスマス・ピニャータ”として使われることになると、それが何だか分からないながらも、「ピニャータ」と呼ばれ装飾が施されていく自分に誇りさえ感じられるようになった。
特に中南米などのパーティで悪魔祓いの一つとしてこどもたちに親しまれるピニャータのつぼになったこと、最後には棒で叩き割られてしまうこと、そんな自身の運命を最期まで知らないまま粉々になり、ごみ捨て場に投げ置かれてしまったひび入りのつぼは、やがて立派だったもう一つのつぼが欠片になって同じごみ捨て場に現れると、すべてのものが同じように生まれて、それぞれに役に立ち、同じように終わっていくのだということを学んだ。
それぞれに値打ちがあるのだと分かると、ごみの山は、皆で幸せなため息をついたのだった。

私たちの想像になかなか表れない、暖かな地域のクリスマスの祝い方を知ることができます。
“ピニャータ”については、記事中にリンクも貼りましたが、日本のスイカ割りのようなもので、人気があることから、いろいろな行事で楽しまれるようですね。
つぼと同じように“ピニャータ”のことを知らないまま読み聞かせられるこどもたちは、つぼが叩き割られると悲しんだり、爆笑したりと様々な反応を見せてくれます。

※残念ながら絶版のようですので、図書館などでぜひ手にとってみて下さい。

ジャック=ケント・作
清水真砂子・訳

薦めたい学年:読み聞かせ Level 2 (クリスマス)
読み聞かせにかかった時間:7分半


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