読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



あな

ある日曜日の朝、ひろしは手持ちぶさたを埋め合わせるように穴を掘りはじめ、ただ深くという思いで、黙々と進めた。
ところが、穴の脇から一匹のイモムシが這い出し、顔を見せたのをきっかけに、彼が作業をやめ、肩の力を抜いてその場に座り込むと、穴のなかの静けさや土の香りを、見上げれば、いつもよりも高い空を、感じられたのだった。
穴から出て、もう一度それをのぞきこんだひろしは、自分で掘った深くて暗い“自分の穴”を確認して、また元通り、土をかけはじめた。

何を伝えたいのでしょうね。 これも答えが用意されていないお話です。 いろいろに感じられるでしょう。
ひろしにとっての「穴」のように、何もないところから、何でもいいから、“自分のもの”と思える何かをつくりだす経験があるといいですね。
目標から逆算した過程ばかりに意識を向けるのではなく、ただ黙々と…という取り組みから得る学び。 その大切さを私たちは少しずつ忘れてしまっているかもしれません。

谷川俊太郎・文
和田誠・画

薦めたい学年:読み聞かせ Level 3
読み聞かせにかかった時間:3分半


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