研究熱心で仕事ができる代わりに、家事をはじめ、他のママたちがしてくれるようなことが一切苦手なお母さんを持つジェイムズは、母のうっかりから学校で恥ずかしい思いをしたことで怒り、それをきっかけにロボットのママを与えられることになる。
プログラム通り、ぬかりなく何でもこなすロボママは、新しいことを覚えればデータ上書きもしながら、母に代わってジェイムズの身の回りを世話したが、一方のジェイムズは、自分とのゲームに勝ちつづけたり、遠慮のない物言いだったり、分析的であるばかりの判断だったりというロボママの性質の中に、共通する違和感を感じていた。
そして、改めて他の家のお母さんを眺め、確かに“普通”ではないものの素晴らしい才能を持つ母への、感謝と愛とに気がついたとき、彼自身もまた、素直で器の大きな人間に一歩近づけたのであった。
合理的と能率的とは、ときに混同されがちですが、やはり異なるものです。
これからの世の中、機械によって、あるいは機械的に提供されるものごとは増えていく一方かもしれませんが、それを受ける私たちには“こころ”があります。
私たちが人間らしさを失うのか、受け手のこころを理解することがますます大切にされるようになるかで、今後見つめるべき問題は変わってきますが、実際に家庭用ロボット出はじめた昨今だからこそ、「合理」をもとに、そういった内容についてたくさん話題にしていきたいものですね。少し先の未来を担うこどもたちと一緒に。
エミリー=スミス・文
もりうちすみこ・訳
村山鉢子・絵
(原題:ROBOMUM)
薦めたい学年:3年生~4年生初
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