「はやい」ってなんだろう。――という問いかけから始まり、足の速い動物たちが並べられ、足が速くはない私たち人間がつくったものが、その速さをずっと追い越す。
そして、音がそれらさえ超え、速さの世界が宇宙へと広がりを見せると、ありとあらゆることの中でもっとも「はやい」ものが光だということに、我々は落ち着く。
しかし、その私たちがもつ想像力こそが、田舎の祖父母のもとへも、宇宙の果てにある星にも、はるか過去にも未来にも一瞬で届くことのできる、一番「はやい」ものなのである。
私たちの頭の中は“宇宙”であり、何事においても“出発点”であると感じさせてくれる内容です。【比べる】ことで、何にも劣らない私たちの素晴らしさを教えてくれます。
「あとがき」に当たる部分を、こどもたちに目を閉じてもらい、ゆっくり読み聞かせたとき、彼らは何を浮かべるでしょうか。
自我の芽生えとともに、はずかしさが先行してしまったり、忙しさに焦ったり、周囲や世間からの見えないプレッシャーを感じたりすることによって、自由な想像力の委縮し始める時期を迎える4年生以上のこどもたちに読み聞かせるのに、とてもよい図書だと思います。
ロバート=フローマン・原作
天野祐吉・翻案
あべ弘士・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 4
読み聞かせにかかった時間:6分
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