フロリダで開かれるサプライズパーティへの招待を受けて喜んだのも束の間、ネッドくんは自分のいるニューヨークからどうやってパーティへ行こうかさっそく悩むのだが、幸運にも友人に飛行機を借りることができ…
と、ストーリー自体は要約する必要のないものが続くのですが、それは原題の“Fortunately”の通り、Fortunately(幸運なことに)/Unfortunately(不運なことに)と、交互に180度反転しながらお話を展開していくことが目指されているからです。
これが翻訳されて「よかった!」「でも、たいへん!」と繰り返されているのは、こどもたちに分かりやすいようにするためでしょうが、その点のみ残念に思います。少し。 「幸運なことに」「不運にも」「運よく」「あいにく」「幸い」「残念ながら」などから「なんと都合よく」「しかし」「うまい具合に」「ところがどっこい」「やったぁ」「なんてこった」などに至るまで、日本語では似たような状況を豊かに表現できますので、あえて固定せず日本語らしさを楽しめるようにしてもよかったかもしれません。
それでも「まさか!」と驚く内容の連続で、小さなこどもたちは楽しんでくれるでしょう。 途中から、先を予想し合って読み進めるのも良いですね。 不運のあとにはラッキーが待っているものだし、幸運があっても油断すれば不運に転じうる。 注意深く、しあわせを見出したいものです。
レミー=チャーリップ・作
やぎたよしこ・訳
(原題:Fortunately)
薦めたい学年:読み聞かせ Level 0
読み聞かせにかかった時間:3分
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