読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



自己の好みの確立。

前回紹介した『はなとひみつ』から、作者・星新一によるあとがきを紹介します。

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 作品についての作者の解説ほど無用なものはないと思っています。補足すべきものが残っていたら、それは作品の不完全を意味します。また、作者がこれによってなにを言わんとしているかのせんさくも、これまた無用です。現代においては、言論は自由なのです。なにかの主張があれば、エッセイなり論文の形をとればいいのです。
 作者としての願いは、読んで面白く感じてくれたかどうかの一点です。どこがどう面白かったかは人によってちがうでしょうし、それが当然ですが、読むことによって楽しいひとときをすごしていただければ、それでもう、なにも言うことはありません。物語の本質はそこにあるのです。
 まあ、そんなことよりも、和田誠さんのイラストレーションのすばらしさを味わって下さい。ね、解説などいらないでしょう。
 自己の好みの確立。これこそが人生において最も大切なことではないでしょうか。
(原文ママ)

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『星新一 一〇〇一話をつくった人』という書籍タイトルのある通り、1000以上のものお話を書き上げながら、徹底して自身の好みを追いかけ、物語の本質を追求しつづけた星新一。軽やかな文体で、実に大切なことを伝えてくれているあたりは、彼の作品さながらといったところですね。
当サイトでも、図書紹介ページでは客観的な内容要約に終始するよう心がけていますが、その中から皆様に、そして皆様のお子様方に図書が選ばれ、生涯を左右するほどの「好み」が確立されていくのなら、それは私にとっても望外のよろこびというほかありません。
一番頼れるサイトたることを望み、より多くの紹介を行ってまいりたいと思います。とくに絵本ばかりでなく単行本の紹介を進めていかなければいけませんね。今後ともよろしくお願い申し上げます。



『はなとひみつ』
星新一・文
和田誠・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 4
読み聞かせにかかった時間:8分半



     

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