読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



人を育てる言葉がけ

トイレなどに「いつもきれいに使っていただいて、ありがとうございます」というような張り紙がされているのを見かけることが増えてきました。 中には、そのような表現を「まわりくどい」「皮肉を言われているようだ」と感じてしまう人もいるようですが、人々の行動心理に照らした時には、とても効果的なものであると言えるようです。 “Thank you for not smoking.”のように、英語でも同じ表現が使われています。 “社会的証明の原理”に無意識のうちに従ってしまおうとする人間の心理に基づくものらしいですが、「コピーライティング」や「人の心を動かす文章」などと検索してみると、特にセールスなどの面で重要性が謳われている分野だと分かります。
ところで、教育の立場にある私は、日ごろからこどもたちに「思考は現実化する」と伝えています(そのまま題名になっている書籍↓もありますね)が、一方で、今回の絵本『きつねのおきゃくさま』からは、私たちが周囲のことばによっても変わる可能性をもっている、というような希望について考えることができます。 こどもたちを見ていれば本当によく分かりますが、こどもに限らず“褒められると嬉しい”ものです。 「次の機会にもがんばろう」「同じようにして、また褒められたい」そのように思いますね。 そんなとき、こころは育っているのかもしれません。 そうして育まれたこころが試される機会というのが、作中のきつねのように“危機”というかたちで訪れることは、こどもたちや私たちにとっても決して少なくないかもしれません。 ただ、物語ではなく現実を生きる者にとって“一発勝負”ということはありませんので、良いことのために勇気が出ないということがあっても、次を目指してまた歩みを進められればいいでしょう。 いつでも成長の途中です。
読み聞かせ終了後には、きつねがなぜ微笑みながら息絶えていったのか、その点についてもこどもたちと話し合えるといいですね。


『きつねのおきゃくさま』
あまんきみこ・文
二俣英五郎・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 2
読み聞かせにかかった時間:6分





     

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