かんたんせんせいがペンギンのリゲルくんに伝えた「空を翔ぶ方法」の中でも、私は1番目のものが素晴らしいと思いました。 彼は、海を空だと思って飛んでいることをイメージし、泳いでみせたのです。 つまり、意識の持ち方ひとつで、世界の感じ方が変わると教えたかったのでしょう。
リゲルくんには難しかったようですし、たしかに事実として空を「翔んだ」ことにはなりません。 また、実社会でこれと同じようなことを語ってしまえば、奇異の目にさらされることも想像に難くないのですが、そのように発想を転換するやわらかさは、現実の厳しさを前にした時にこそ、必要なのではないでしょうか。
それが理解できたとき、翔んだのが空なのか海なのかといったことは、問題でなくなるのかもしれません。
さて、今回の図書に関連して、もう一つご紹介したいのは、2014年7月開催の【TED x Sapporo】に参加された、北海道・赤平市の株式会社植松電機、専務取締役・植松努さんによるスピーチです。
すでにご存じの方も多いかと思いますが、【TED】とはアメリカのカリフォルニア州ロングビーチで年一回大規模な世界的講演会を主催しているグループのことで、彼らが主催する講演会では、学術・エンターテイメント・デザインなど多岐にわたる分野・人物により、プレゼンテーションが行なわれます。 また、運営や人選、設営などにTED本体は関与していないものの、TEDの精神である「ideas worth spreading」 のもと世界各地で発足しているコミュニティー、それが【TED x】です。
植松氏は「どーせ無理」という気持ちをこの世から無くそうとしている、あきらめることを知らない大人です。 ぜひ、リンク先にある講演内容をご視聴ください。 5~6年生以上のお子様がいらっしゃる場合には、一緒にご覧いただけると良いでしょう。 教師が教えられないことを話してくれる、素晴らしい「先生」です。
『かんたんせんせいとペンギン』
斉藤洋・文
大森裕子・絵
薦めたい学年:1年生~2年生半ば
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