楽しい、悲しい、その他どんな気持ちも感じたことのなかった図書館前の石像ライオンは、立派でも怖い顔をしていたため、どの子もあまりそばに行きたいと思うようなものではなかったのだが、両親を交通事故で失い、まだ赤ん坊の弟と二人きり、その日暮らしをしていた女の子サラだけは、いつもライオンのもとへやってきて涙を流していた。
つめたい雪の降るある晩、彼女はかごの中の弟を抱いて、ライオンの前で倒れてしまったのだが、それを助けたいと強く願ったことで、石のライオンは生身に姿を変え、ほんの短い時間その身に起きた奇跡の中で、彼女を助けることができたのだった。
思う存分走り回ってみることなどはできず石に戻ってしまったライオンではあったが、その日を境に、彼は皆から永く愛される存在となり、そのことに喜びを覚えているようでもあった。
マーガレット=ワイルド・文
リトバ=ボウティラ・絵
木坂涼・訳
薦めたい学年:読み聞かせ Level 1
読み聞かせにかかった時間:7分半
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見・ご感想、お待ちしております。