読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



ぼくのおなかがしろいわけ

朝が苦手なタムが目をこすりこすりお友だちとの約束に向かうと、彼の遅刻によって木の実とりの楽しみを奪われた友人たちが腹を立てて待ち構えていたのだが、自分の忙しさや興味を言いわけにして反省せず、彼らの気持ちを理解できなかったタムは、見返すために一人、林の中で木の実を探し、高い木にのぼった。
その後、意気揚々と木の実を集めたものの下りることができなくなってしまった彼が、自らの不運を嘆きながら考えたのは、約束一つをないがしろにしたことで、他の人との別の約束までをすべて破ることになってしまった現実と、そのために心配させてしまっているであろう人々のことだった。
その先そのままでいることがどのような未来をもたらすか想像して不安になったタムが、勇気を出して木の幹を下りはじめても、思うようにはいかず、傷つき落ちることになったのだが、擦りむけたおなかに新しく生えたなぜか真っ白い毛それ自体は、彼にとって誇らしいものになったのであった。

「我」が先行することで、自分を大切に想ってくれている者や他者に、一体どのような迷惑がかかるのか。
また、その姿勢をいつまでも続けた先に、どのような未来が待っているのか。どのような不安があるか。
そういったことを真剣に想像できることが、9才以降とくに求められるようになります。その足掛かりになると良いですね。

熊田勇・作

薦めたい学年:1年生半ば~2年生


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