小さな体と器用な手先とで、腕利き歯医者として動物たちの信頼を集めていたチュー先生と奥さんだったが、ネコをはじめ、その身に危険を及ぼすおそれのある動物の診療だけは、どうしてもお断りだった。
そこへ一匹、紳士な装いのキツネが泣きながら虫歯の痛みを訴えてきたため、しぶしぶ診察を受け入れたのだが、治療が進むにつれて完治後のずる賢い食事のことばかりを考えるようになったキツネの腹の内を口の中から見抜いた先生夫婦は、翌日に控えた最終処理を前に、キツネを出し抜く計画を練る。
ここでも小さき者の知恵によって大きな者の力は封じられ、キツネはただただ威厳だけは失わないよう一生懸命、すごすごとその場を退散するばかりだった。
一度すると決めた治療は必ず最後まで請負う。
そんなチュー先生の高いプロ意識に、こどもたちも感じるところがあればいいのですが。
ウィリアム=スタイグ・作
うつみまお・訳
薦めたい学年:読み聞かせ Level 1
読み聞かせにかかった時間:7分半
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見・ご感想、お待ちしております。