戦時下、疎開先のお寺(東京・八王子市)で集団生活を送っていたケンジは、あるとき村の子たちとケンカし、ランドセルの肩ひもが片方ちぎれかけてしまったが、先生にケンカがばれないよう、母に会い修理を頼める時まで、地蔵堂のうちの1体に背負ってもらい隠しておくことにした。
より空襲の心配が少ない群馬へ親戚を頼って移る案もあったものの、名残惜しさからケンジが希望した通り村に残ることになってまた数日、いよいよ母との面会、母にお願いできる日が訪れたのだが、面会のない他のこども達への配慮から、ケンジの母は素っ気ない態度で帰路についてしまった。
甘えたい気持ちを分かってもらえなかったケンジは、すねて見送りさえしなかったが、その後いよいよ八王子にまで及んだ空襲の中で、見境ない機銃掃射により即死。 彼のランドセルがかけられていた地蔵様は、きちんと直されたそれと母の涙とを、いまも黙って背負い続けているのである。
実在する八王子市・相即寺の地蔵堂は、毎年6月23日、7月8日、8月8日それぞれ午前8時~午後6時まで開帳されるとのこと。
私はつい先日この図書にめぐり会ったため、相即寺へはまだ足を運んでおりませんが、こちらやこちらのページで多く写真などを拝見することができました。ぜひ時間をつくり、自分の目でも確認してこようと思っております。
こういったやるせないものを現在に伝える児童文学が、ずっと残っていくことを切望致します。
古世古 和子・文
北島新平・絵
薦めたい学年:2年生夏~3年生夏
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