獣医学の知識・経験を活かしながら、野生動物の健康を守り、環境を守り、彼らと人間とが健全な形で共存することを目指す「保全医学」という新しい分野において、特に希少猛禽類の研究に携わっているのが著者である。
お手本も教科書のようなものも存在しない中で、「獣医師」としてはもちろん、ケガや病気の原因あるいは死因をつきとめる「鑑識」や「検視官」として、人間のせいで鳥たちが苦しんでいることを世間に周知させる「スポークスマン」として、さらには関係する各方面に対策を実行してもらうための「交渉役」としてなど、目的に向かって行動しようとすることで求められる多方面での役割をこなしてく。
人間と野生動物との共生のため、どのように“折り合い”をつけたらよいか、その橋渡しをするための柔軟な思考法について、また職業選択にまつわる様々な出会いへの感謝についてなど、「世の中への扉」として紹介している良書である。
齋藤慶輔・著
薦めたい学年:5年生~中学生
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