読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



ムーサンのたび

新しく誕生したクモの子どもたちは、一人前になるために、バルーニングと呼ばれる空中飛行(※)を行って生まれ育った環境から遠く離れた場所に自分のすみかを見つける、旅立ちの時を迎える。
兄弟姉妹が憧れをもって新天地を想像し語るなか、ムーサンだけは決めきれぬまま当日を迎え、満足そうに新しい土地へおりていく彼らを見送りながら、空の上でとうとう一人になる。
行く先をきちんと決めることのできる皆を不思議がりながら、風の切れ目で意識も切らしてしまったムーサンは、結局もといたところと変わらないような小さな草むらに降り立ったが、特別なものはなくとも、その地に選ばれたと思うことで良い棲み家にできそうな気が、彼にはしていたのだった。

※夏の終わりから秋のはじめ、または春のはじめ、風の穏やかな快く晴れた日に見られるようです。

いとうひろし・作

薦めたい学年:読み聞かせ Level 1


0 件のコメント:

コメントを投稿

ご意見・ご感想、お待ちしております。