読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



きつねのライネケ

芥川龍之介をして「ゲーテは『ライネケぎつね』を書いただけでも偉大だ」と言わしめた本作品が書かれたのは、ゲーテ44歳、1793年のことであった。
折しも革命の狂熱が頂点に達し、ルイ16世やその王妃マリー・アントワネットが処刑されたこの年、多くの政治的・社会的変動の時を迎えたフランスを隣国ドイツ(プロイセン王国)から眺めていたゲーテは、不安な政情下における人間社会の実態を見聞きしながら、「悪の底まで見極めよう」と、この作品を書き上げたものと思われる。
「ライネケは、いつの時代にも、どこの国にもいたのであるし、今もいるのである」とは、とあるドイツ文学者の言葉だが、人間社会の普遍的な裏表の関係、認めがたくも確かなこの真理を、作中の安定なき多彩な弁論と、読む者を唖然とさせるエンディングに込めて、ゲーテは我々に提示してくれている。
(訳者あとがき参照)

ゲーテ・作  上田真而子・訳
小野かおる・絵

薦めたい学年:高校生~大人


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