クリスマスの朝、ある男の子に届けられたビロードのうさぎのぬいぐるみ。
それ以降そのビロードウサギは、男の子の“本物”になりたいと願いながら、男の子との時間の中で自分が“本物”であることを実感しながら日々を送っていたのだが、ある日男の子がウイルス性の病気を発症したことにより、身辺の物は一切燃やされてしまうことに決まる。
男の子の“本物”である自分を信じながらも、やはりガラクタ同然の別れを迎えなければならなくなった現実に対し、あきらめきれない気持ちからビロードうさぎが涙を流したとき、奇跡が起きたのだった。
ビロードうさぎだけではない。
ひとは誰でも、他のだれかの“本物”でありたいと願うものであり、そして自分こそ「あの人の“本物”」と信じていればいるほど、思いがけない別れに苦悩する。
ただ、“本物”であればこそ一時の別れさえも経験に変え、不思議なきっかけを得てまた始められる… そんなことを教えてくれているのかもしれない。
わたしは何を話しているんだろう…
マージェリィ=ウィリアムズ=ビアンコ・作
吉永純子・訳 谷口由美子・絵
(原題:The Velveteen Rabbit)
薦めたい学年:2年生半ば~3年生初
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見・ご感想、お待ちしております。