まだ“いろ”というものがなく、見るものすべてが灰色という時代にあって、その変わり映えしない世の中の何かが間違っていると考えた魔法使いは、様々な呪文を唱えたり、くすりを作ってみたりしはじめた。
すると、「あれをちょっぴり」と「これをちょっぴり」かき混ぜたところで“あおいろ”ができあがり、世界中を染めるのだが、これがなんだか人をかなしい気持ちにさせてしまうのだった。
“きいろ”だけでも“あかいろ”だけでも落ち着かなかった世界が、美しく申し分のないものに変わるために必要だったのは、ほんのちょっぴりのアイディアだったのだが、一方で色に囲まれた生活を送る我々は、この世界の美しさについてもう一度「ちょっぴり」でも考えてみることで、いろいろといいアイディアが浮かんでくるのかもしれない。
アーノルド=ローベル・作
牧田松子・訳
(原題:The Great Blueness and Other Predicaments)
薦めたい学年:読み聞かせ Lv.2
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