お酢づくりのつぼのような形の粗末な家に、猫のモルトと貧しく、しかし満足し幸せに暮らしていたおばあさんは、ある日拾った銀貨で購入した“小さなさかな”を調理しようとするのだが、命乞いするようなその姿に負け湖にかえしたところ、命の恩人にお礼を…と小さなさかなに話しかけられる。
自らを“王”だといい、望みをすべて叶えると話すこの小さなさかなに、はじめこそ控えめだったおばあさんも、ことごとく叶えられる願いを目の当たりにしていく中で、とどまるところを知らぬ欲望の虜となっていく。
「本当にいやなよくばりばばあ」になってしまうのか、それとも「心のやさしいおばあさん」でいられるのか、主人公のおばあさんでなくとも、だれもが陥ってしまいがちな物欲のスパイラルをテーマとして見せながら、“いまの私”を見つめるきっかけになってくれる、そんな作品。
ルーマー=ゴッデン・作
なかがわちひろ・訳/絵
薦めたい学年:3年生
物語・110ページ
自分自身を見つめることをテーマとした作品であることから、分量こそ少ないですが、私は小学3年生に読んでもらい、生徒たちが気に入れば読書感想文の題材としても用いています。
変化する/してしまう自分に気がつき、考えることのできる年齢のこどもたちに、これからも薦めていきたいと思います。
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