読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



おすのつぼにすんでいたおばあさん

お酢づくりのつぼのような形の粗末な家に、猫のモルトと貧しく、しかし満足し幸せに暮らしていたおばあさんは、ある日拾った銀貨で購入した“小さなさかな”を調理しようとするのだが、命乞いするようなその姿に負け湖にかえしたところ、命の恩人にお礼を…と小さなさかなに話しかけられる。
自らを“王”だといい、望みをすべて叶えると話すこの小さなさかなに、はじめこそ控えめだったおばあさんも、ことごとく叶えられる願いを目の当たりにしていく中で、とどまるところを知らぬ欲望の虜となっていく。
「本当にいやなよくばりばばあ」になってしまうのか、それとも「心のやさしいおばあさん」でいられるのか、主人公のおばあさんでなくとも、だれもが陥ってしまいがちな物欲のスパイラルをテーマとして見せながら、“いまの私”を見つめるきっかけになってくれる、そんな作品。

ルーマー=ゴッデン・作
なかがわちひろ・訳/絵

薦めたい学年:3年生
物語・110ページ

自分自身を見つめることをテーマとした作品であることから、分量こそ少ないですが、私は小学3年生に読んでもらい、生徒たちが気に入れば読書感想文の題材としても用いています。
変化する/してしまう自分に気がつき、考えることのできる年齢のこどもたちに、これからも薦めていきたいと思います。


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