読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



みけねえちゃんにいうてみな

なぜだか最近自身を「うーちゃん」と呼ぶようになった小学2年生の息子ともくんを理解できないお母さんと、母を敬遠しているようなともくん、そんな二人の間を取り持つべく、この家のネコ・みけねえちゃんは、まず“「うーちゃん」の秘密”を探ろうとする。
頑ななともくんの態度を少しずつ諭して和らげ、その理由が宿題のため尋ねた“名前の由来”を教えてもらえなかったことへの抵抗なのだと知ると、次にみけねえちゃんはお母さんの説き落としに移ったのだが、一方のお母さんにも、一人抱え込んでいた(ともくんの)お父さんとの別れの記憶があった。
双方の胸の内を知ることができたみけねえちゃんは、彼女の見聞きした事情だけを伝えてともくんを見守ることにしたが、ともくんがたくましくもお母さんを守る宣言までして仲直りしたので、とても安心したのだった。

村上しいこ・作
くまくら珠美・絵

薦めたい学年:2年生後半~3年生
物語・63ページ

タイトルと同じセリフ「みけねえちゃんにいうてみな」が「みけねえちゃんがいうたげる」に変わるときの、なんとも頼もしいこと!その頼もしさがラストのともくんの姿にも重なります。
チャット文化の若者間にも見られる1対1の関係性への執着が、物事を難しくすること、よくありますね。
そんなときに、みけねえちゃんのように橋渡ししてくれる人がいたら問題が問題でなくなることもある。それが忘れられたり、煙たがられたりしているこの頃に、本作は大事な示唆を与えてくれている気がします。


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