読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



2016読書感想文コンクール・課題図書

こんにちは。
本日はレビュー紹介ではなく、夏休みお薦めの図書をご紹介していこうと思います。

夏です! 今年も気になるのは……
夏休みの早い段階で終わらせておきたい、読書感想文ですね。
こちらへジャンプしていただければ、これまでにご紹介さしあげた図書の中でも読書感想文に適したものを確認することができます。

そして、本投稿でご紹介するのは、全国読書感想文コンクール2016の“課題図書”となっている作品です。当ページの“売り”でもある要約を省くことになってはおりますが、どうぞご参照くださいませ。
課題図書と指定されていても、読書感想文に向かない、あるいは指定されている学年で理解するには難しいと思った作品については、ここに載せておりません。ご了承ください。



1年生・2年生

『ボタンちゃん』 絵本 32ページ

『アリとくらすむし』 絵本 36ページ
共生がテーマです。共生には、どのようなスタイルがあるのでしょう。
1・2年生だと、アリと暮らす虫たちについて感心したことを述べるので精一杯だと思います。
私たち人間も関わりあって暮らしている……といった内容まで考えてもらいたくて今回指定されたのでしょうが、そこまで“一人で”感想文に書くことのできる子は、まずいないでしょう。ありのままでよいのです。

『ひみつのきもちぎんこう』 87ページ
行いの善悪で、気持ちを預かるように、貯まっていくお金の色が変わるひみつのきもち銀行。
こどもたちが、気持ちと行動について考えます。

         



3年生・4年生

『木の好きなケイトさん―砂漠を緑の町にかえたある女のひとのおはなし』
木に囲まれて育ち、木が大好きで、木について知りたい知りたいと勉強を重ねたケイトさんのお話です。
大好きなことが見つかったら、情熱を注ぎ続けることで、それはもっと大きく育つ……
TEDでも話題になり、最近教育関連の本でもよく見かけるようになった“やりぬく力=grit(グリット)”。実話が基の本作ですが、対象が木であるがゆえに、そのテーマがよりイメージしやすくなっています。

『さかさ町』 96ページ
“あべこべ”は、児童書の世界観としてよく見かけるものですが、本書もそういった作品の一つです。
当塾でも、こどもたちと「もしも~」と既存の価値観を逆転させたり、突飛な仮定をしたりした上で作文を進めることがありますが、それをする目的は決して愉快だからではなく、我々が日々の中で当たり前に享受しているものを眺め直す機会とするためです。
難しく書きましたが、この本で読書感想文を書きたいこどもたちは、その辺りのことを意識して読み進める必要があるでしょう。内容は、推奨されている学年に相応しいものになっています。

『二日月』 207ページ
まず、この作品は普段から本を読み慣れている4年生以上の子にお薦めするものだということを明示させてください。
難病をもって生まれてきた妹、その妹との日々を眺める4年生のお姉ちゃん・杏という設定で、下に5・6年生向けとして挙げている『ワンダー』と同じく、自分や家族が周囲からどのように見られているのか、他者はまた別の他者の目にどう映っているのか、という“客観”をテーマにしっかりと書かれた作品です。
物語ですが、着実な読みを基に、他者の中の自分と、自身が思う自分について、考えたことを表現する力が読書感想文づくりには必要です。

      



5年生・6年生

『茶畑のジャヤ』 213ページ
成績優秀ゆえ仲間から疎(うと)まれるようになってしまった周は、そのSOSを受け取った祖父に誘われるまま7日間のスリランカ旅行へ出かけ、それまで全く知らなかった土地の大自然の中で、新しい自分に気がつきはじめる一方、その地が抱える民族問題と向き合うことになります。
「いじめをする側に欠如しているのは、想像力!」と結論付けるだけでは勿体ない作品です。とことん想像してみることで問題に気が付ける、解決につなげられる、そういうことって他にどれだけあるでしょう。
本書にあるような世界で繰り広げられている紛争についてはもちろん、たとえば天災に見舞われた方々や地域に対して、自然破壊に対してなど、傍観していたり、見て見ぬふりをしていたりすることで、私たち自身が消極的加害者になってしまっているケースもあるでしょう。
社会に目を向け始めてほしい高学年ですから、身近な大人と相談しながら、テーマから色々に考えを派生させてほしいところです。

『ワンダー』 421ページ
先天性の異常により皆とは違った顔で生まれたオーガストは、10才で初めて学校に通い始めますが、それは“当たり前”でない者が“当たり前”の中に飛び込んでいくことでもあり、オーガスト本人が懸念していた通りだったり、それ以上だったりする周囲の目や態度に触れ、彼はそれまで経験したこともないような葛藤を繰り返すことになります。
また、オーガスト本人の視点だけでなく、それぞれ独立した章として、彼の姉や友人たち一人ひとりの視点を読者が共有することができるようになっている点も面白いところです。
オーガストのお姉さんたちは日本でいう中学生にあたり、それなりの感情と洞察をもって語っていますので、中学生が読むのにもお薦めしたい図書です。そうですね、この本が本当に理解できるのは中学生以上だと思います。5年生には、少し早いように思います。
私は昨年インタ―ナショナルスクール生からお薦めを受け読みました。全世界で300万部売れた感動の大ベストセラーとのことです。

   




以上が、2016年度青少年読書感想文コンクールの小学生向け課題図書となります。(一部取り上げていない作品もございます)
いくつかの作品を手に取り、数ページを読まれるのがよいでしょう。一番馴染みやすいものを読み、書くことが感想文では大切です。

上にまだ挙げていない中学生向け図書と、コンクール無関係!国語開化塾としてのお薦め作品は、日を改めてご紹介させていただきます。

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