おばあさんが亡くなり、何をする元気も失ってしまったまま毎日毎日をただ過ごしていたおじいさんは、ある朝ふいにおばあさんが作ってくれていたおだんごスープが食べたくなり、彼女が料理中に口ずさんでいた歌をたよりに作ってみるのだが、いいにおいに引き寄せられてやってきたねずみたちに振る舞ったことで残りがわずかになってしまった上、味もなんだかおばあさんのものとは違っていた。
そこで、おじいさんが、少しずつ歌を思い出して材料を加え、作る量も増やしていくと、その度に足りない味に気がつくものの、お客さんの数はだんだんと増えていった。
近所のこどもたちまでもが食べにくるようになったとき、相変わらずおじいさんの食べる分は少ししか残らなかったが、おじいさんのおだんごスープは、想い出の味とそっくりなものになっていたのだった。
寒い季節に温かいスープ、おいしいですよね。
さびしい気持ちにも、温もり想い出スープが沁みこむようです。
細かなイラストの変化にも気をつけていると、あちらこちらに、だんだんと活力を取り戻してきたおじいさんの様子を見出すことができます。
おばあさんのスープと同じ味、それは材料だけではない何かにもよるのかもしれないね。 …と、ここでも、一見してこたえの出ないようなところにまで想像力をはたらかせられるよう、こどもたちに問いかけてあげたいものです。
角野栄子・文
市川里美・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 1
読み聞かせにかかった時間:10分
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