読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



口で歩く

この世に生まれて二十数年、不自由な体のために寝たきりで過ごしているものの、気持ちは自由そのもの、そんなタチバナさんは、その日、知り合いの家を訪ねようと、車輪付きのベッドに乗って、いつものように一人出かけていった。
…といっても、自分だけでは進むことのできない彼は、そばを通り掛かる人々へ陽気に話しかけ、相手の都合の良いところまで押してもらうことで目的地を目指すのだが、あえて色々な人との出会いを求め、愉快も不愉快もありのままを感じながら世間を眺める、他者に支えられながらの旅がそこにはあった。
ただ、支えられてばかりのように思っていた口に頼る散歩に、自分と関わる誰かを支える側面のあることを知ったとき、タチバナさんはベッドから伝わる揺れを、それまでよりもずっと心地よく感じられるようになったのである。

丘修三・文
立花尚之介・絵

薦めたい学年:4年生~5年生初


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