あるとき、美しく輝く王冠を見つけたカエルのビクトールは、それをかぶった自分の姿を池に映して、少し偉くなったように感じ、仲間のもとへ帰ってからも王様気取りで要望を伝えるばかりだったのだが、不思議なことに、仲間たちもそれに従わなければならない気が起こり、仕事をこなしていったのだった。
ところが、次の日、また次の日と、王冠を見つける仲間が増えると、残る者たちの負担と不満が増し、ついには全員が王冠を手に入れたことで、誰もが指示するばかりで動こうとしない時間が過ぎていくだけとなってしまったため、王様でいることに飽きたカエルたちは、自由を求めて王冠を投げ捨てた。
その頃、池のほとりでは、一匹のカタツムリが王冠を見つけ、偉くなった気分を自慢しようと、仲間のもとへ全速力で向かいはじめたところだった。
なかじまゆうき・文
山田真奈美・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 2
(あじさいの咲く頃に)
読み聞かせにかかった時間:6分
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