30年間無遅刻無欠勤、曲がり道を行くことなんて大嫌いな校長先生が、あるとき自宅からまっすぐ一本道のところに正門を移してしまったことで、旧正門前にあった横断歩道は、こどもたちに使われなくなってしまった身の上を嘆いていた。
通りすがりにそれを知ったひとりざむらいは、手前勝手な校長の成敗にのりだし、その脇目もふらない態度と健脚に悪戦苦闘しながらも、腰に差した名刀「ふしぎまる」の力で、とうとう曲がり道を進ませ、学校に遅刻させることに成功する。
それ以来、校長先生が、記録への執着を捨てて寄り道を楽しみながら通勤し、それまで気がつかなかったものごとや周囲の変化にふれる余裕を持つようになったことで、横断歩道のかなしみもまた解消されていくのだった。
斉藤洋・文
高畠那生・絵
薦めたい学年:1年生終わり~3年生初
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