妹ももこが3才を迎えた日、物騒な世の中を憂えたお父さんの発案で、しんた達兄妹は、それぞれの誕生日に全員の写真と指紋とを残すことになった。
押された指紋を眺めながら、それが世界に二つとないものだということに家族が感動すら覚えていると、しんたがふと、家族だけで理解可能な合言葉を作ることを提案し、楽しく議論される中で「あべこべ言葉」を使うことに落ち着いたのだが、それを試し始めるや、しんたは思いがけず爽やかさを知る。
あべこべに言うことで、むしろ素直な気持ちを表現しやすくなり、家族間のあたたかさに触れると共に、「ゲームをしなさい」と言われれば机に向きたくなり、「勉強なんかきらいだ」とつぶやけばつぶやくほど勉強が楽しくなったことが、しんたにはなぜだか嬉しかったのである。
微笑ましく読み終われる佳作です。
これを参考に、あべこべ言葉での生活を試してみて、夏の読書感想文とすることもできそうですね。
爽やかな児童書にふさわくしない表現もごく一部あるのですが、作中ですぐにそれを叱られる場面があるため、問題ないでしょう。
藤本義一・文
古味正康・絵
薦めたい学年:1年生後半~2年生
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